おおすみ法律事務所 鹿屋市の弁護士事務所

法律情報

名の変更について

1 はじめに

最近の子どもの名前は読みづらく、これまでにないものが多くなってきたと言われています。
このような子どもの名前を、「キラキラネーム」とも呼ぶそうです。
子どもの名前は、そのご両親等が一生懸命考えて名付けるものであり、どの名前にもいろいろな思いが込められているものと思います。
しかし他方で、キラキラネームにより就職差別を受けたり、あるいは社会生活上の支障を来すなどの事態が生じ、名の変更を考える人も増えているようです。
そこで今回は、「名の変更」についてまとめてみたいと思います。

2 子どもの名前の命名権は誰にある?

命名行為については、親権の作用であると考えるのが通説となっています。
つまり、子どもの名前の命名権は親権者にあることになります。
そして、子どもの親権者は、原則としてその子の父母です(民法第818条1項)。
よって、子どもの命名権は、親権者である子どもの父母にあることになるのです。

3 名の変更について

【総論】
名の変更については、戸籍法第107条の2という条文に規定があります。
戸籍法第107条の2は、「正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。」と定めています。

【要件】
では、変更要件である「正当な事由」とはどのようなものを指すのでしょうか?
これについては、一般的には、名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい,単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りないとされています(裁判所HP)。
具体的には、
① 奇妙な名であること
② 難しくて正確に読まれない名であること
③ 同姓同名者がいて不便であること
④ 異性と紛らわしいこと
⑤ 外国人とまぎらわしいこと
⑥ 神官若しくは僧侶となるため、又はこれを辞めるために名の変更が必要であること
⑦ 通称として永年使用したこと
⑧  その他(営業上の目的から襲名する必要のあること、帰化した者で日本風の名に改める必要のあること等)
などの場合が考えられます(昭和23年1月31日民甲第37号最高裁民事部長回答参照)。
キラキラネームについても、その名によっては、上記①、②等の事由により、名の変更が認められる余地があります。

【手続き】
① 申立人(申立権者)
名の変更をしようとする人が申立人(申立権者)となります。ただし、15歳未満の人については、その法定代理人が代理することになります(昭和29年9月30日法曹会決議参照)。
② 申立先(管轄)
申立人の住所地の家庭裁判所に申立てをすることになります。
③ 手続き
名の変更を行うためには、まず、家庭裁判所に「名の変更許可申立書」等を提出し、裁判所から名の変更の許可を得た上で、この審判書謄本を添付して市区町村役場に名の変更届を行うことが必要となります。

【変更の容易性】
氏(名字)の変更については、戸籍法第107条において、「やむを得ない事由」が必要とされていますが、名の変更については、「正当な事由」があれば足りるとされており、氏の変更に比べれば、名の変更の方が比較的緩やかに許可を得られると考えられます。

参考:二宮269頁、家事事件の申立書式と手続き277頁、裁判所HP