【法律情報】相続放棄とは

1 相続放棄とは

相続放棄とは,相続人の意思により相続そのものを拒否することをいいます。

相続放棄がなされると,他の相続人の相続分は,放棄者が初めからいなかったものとして算定されることになります(民法939条)。

相続放棄は代襲原因にはなりません。例えば,Aが死亡してAの相続人Bが相続放棄をした場合に,Bの子CがBに代わってAの相続分を相続することはできません(民法887条2項)。

 

2 相続放棄の手続き

相続放棄は,債権者に対する影響が非常に大きいので,その意思表示は家庭裁判所に対する申述という方式によって行うものとされています(民法938条)。
相続放棄の申述の受理は,家庭裁判所の審判の対象とされていますが,実際には,その審査は書面限りで形式的になされるにすぎません。
ただし,相続放棄は要式行為(定められた方式に従わなければ効力が生じない行為)とされていますので,この方式に従わない相続放棄の申述は受理されません。

相続放棄の申述先は,被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。
申述に必要な費用は,申述人1人につき収入印紙800円です。
申述の際には,申述書,申立添付書類(被相続人の住民除票又は戸籍附票,申述人の戸籍謄本,被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本など)の提出が必要です。

 

3 期間制限はありますか

相続放棄には,「熟慮期間」と呼ばれる期間制限があり,「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に相続放棄の申述をしなければならないとされています(民法915条1項)。
3か月の間に相続放棄や限定承認(相続財産の範囲で債務を承継すること)がなされなければ,法定単純承認の事由となり,被相続人の債務を承継することになります(民法921条2号)。

「自己のために相続の開始があったことを知った時」の意味について,判例は,原則として,相続人が相続が開始したこと及び自己が相続人であることを知った時だと判断しています(最判昭和59年4月27日民集) 。

これによれば,「被相続人の死亡」と「自分が相続人であること」を知った時から3か月以内に相続放棄の申述をすることになります。

相続人の相続放棄によって新たに相続人となった第二順位相続人の場合は,「被相続人の死亡」と「相続放棄により相続人となったことを知った時」から熟慮期間が起算されることになります。

相続人が複数いるときは,「熟慮期間」は各々別々に進行することになります(最判昭和51年7月1日家月29-2-91)。

 

4 熟慮期間を経過してしまった場合の対処

上記昭和59年最高裁判決は,(1)被相続人に全く財産がないと思っていた場合に,(2)相続人が相続財産の有無を調査することが期待できない特別の事情があって,(3)このように信じることに相当な理由があれば,3か月を経過していたとしても相続放棄が認められると判断しています。

したがって,相続人が被相続人と疎遠であったため相続財産が全くないと思っていたという場合であれば,3か月を経過しても相続放棄が認められる余地があります。

 

5 熟慮期間の延長

「熟慮期間」は,利害関係人または検察官の請求により,家庭裁判所において伸長することができます(民法915条1項ただし書)。相続財産の状況の調査をしても放棄すべきかの判断が下せない場合には,この手続を行うことになります。

 

6 相続放棄を利用に適した場合

【債務超過の場合】

相続放棄は,被相続人が債務超過である場合に,相続人が不利益を回避するために,相続の効力を確定的に消滅させる手段として利用されています。

例えば,被相続人の財産が500万円で借金が1000万円である場合,相続人がこれを相続すると債務超過となっている500万円分を自分の財産から弁済しなければなりません。このような不利益を回避するために,相続放棄が利用されているのです。

【遺産の集中】

また,共同相続人の1人に相続財産を集中させるために,他の相続人が相続放棄するケースがあります。

特定の相続人に相続財産を集中させるのであれば,(ア)他の共同相続人が財産を取得しないことを内容とする遺産分割協議書を作成・添付する方法,(イ)遺産分割協議の中で他の共同相続人が相続分皆無証明書(すでに十分な生前贈与を受けているとして自分の相続分がないことを証明する文書)を作成し,これを相続登記申請書に添付する方法などがあります。

しかし,(1)(2)の方法では,債権者の同意がない限り,共同相続人が債務の承継を免れることはできないので,注意が必要です。

 

7 未成年者による相続放棄

申述を行うのは,相続人です。

相続人が未成年者又は成年被後見人である場合には,法定代理人が代理で申述を行います。

未成年者とその法定代理人が共同相続人である場合に,未成年者のみが申述を行うときは,特別代理人の選任が必要になります(民法826条1項)。

 

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2013年03月02日

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