借金問題
債務整理の方法としては,自己破産・個人再生・任意整理などの方法があります。
債務整理共通のメリットは,借金返済の問題を法的に解決できることです。
また,いずれの手続も,それらに先立って弁護士が受任通知を送付することにより,貸金業者や債権回収会社などからの直接の取り立てが停止することになります。
債務整理共通のデメリットは,ブラックリストに登録されることです。ブラックリストに登録されると,一定期間,新規の借入れ,クレジットでの買い物,ローンを組むことなどが非常に難しくなります。
債務整理とは?
借金の返済 | 財産の処分 | 制限事項 | 官報での公告 | 借金の原因 | 裁判手続費用 | |
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自己破産 | 原則 支払義務はなくなる |
一定の財産は処分することに | 資格制限 郵便物制限 転居制限 |
あり | 免責が得られないことも | 官報広告費など ※予納金などが必要な場合も |
個人再生 | 裁判によって,借金の大幅減額・分割払いも可能 | 原則不要 但し,「清算価値保証原則」を考慮 |
転居の報告 | 問われない | ||
任意整理 | 返済可能な程度に長期の分割払いも可能 | 不要 | なし | なし | 問われない |
- 〇借金の返済に関する比較
- ・自己破産の場合であれば,一定の財産を処分する代わりに,借金の支払い義務を免れることができます(いわゆる「免責」)。
- ・個人再生の場合であれば,裁判によって借金を大幅に減額した上で分割払い(原則・3年間の分割払い)にしてもらえます。
- ・任意整理の場合も,返済可能な程度に長期の分割払いにしてもらうことができます。
(場合によっては減額がなされないということもあり得ます。)
★任意整理や個人再生の場合には,返済できるだけの収入(返済の目安は,「住居費を引いた手取り収入の3割から3分の1」と一般に言われています。)があるということが前提条件となります。
- 〇財産の処分に関する比較
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- ・自己破産の場合,一定の財産は処分しなければなりません。
(ただし,生活に必要となる最小限の財産は「自由財産」として,処分をしなくてよいことも。) - ・個人再生の場合,原則として財産の処分は不要です。住宅ローンが残る自宅を残す選択も可能(「住宅資金特別条項」の利用)です。
(ただし,担保がついている財産は担保実行により失われることも。) - ・任意整理の場合,財産の処分は不要です。
(ただし,担保がついている財産は担保実行により失われることも。)
- ・自己破産の場合,一定の財産は処分しなければなりません。
- 〇各種の制限に関する比較
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- ・自己破産はその効力が大きい分,破産手続中は資格を使って仕事をすることができなくなったり,郵便物が破産管財人に転送され内容を確認されたり,転居をする場合も裁判所の許可が必要となるなどの制限があります。
- ・個人再生の場合,転居について裁判所に報告しなければならないということ以外には,資格制限などはありません。
- ・任意整理の場合には,そのような制限はありません。
- 〇官報公告に関する比較
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- ・自己破産や個人再生は裁判手続ですので,自己破産や個人再生をしたことが官報に公告されます。
- ・任意整理は裁判外の手続ですから,官報に公告されることはありません。
- 〇借金の原因に関する比較
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- ・自己破産の場合には,「ギャンブルで借金を増やした」,「特定の債権者にだけ返済をした」など,「免責不許可事由」がある場合には,免責が得られなくなるという可能性があります。
(ただし,免責不許可事由があったとしても,裁判所の裁量によって免責が得られるという場合も多いです。) - ・任意整理や個人再生の場合には,借金の原因は問われません。
- ・自己破産の場合には,「ギャンブルで借金を増やした」,「特定の債権者にだけ返済をした」など,「免責不許可事由」がある場合には,免責が得られなくなるという可能性があります。
- 〇裁判手続き費用に関する比較
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- ・個人再生,自己破産手続きは,裁判手続ですので弁護士費用の他,裁判所に納める手続費用(例:「官報広告費」は2万数千円程,「予納金」は約20万円~)が必要になることもあります。