法律情報
離婚に伴う子の氏(姓)の変更について
1 はじめに
父、母、未成年の子の3人家族があり、父が戸籍の筆頭者だったとします。
この場合、父と母が離婚し、それに伴い母が未成年の子の親権者となったとしても、この未成年の子が当然に母の戸籍に入籍するわけではありません。そしてまた、離婚により母が復氏(旧姓に戻ること)したとしても、母が親権を有する子の氏(姓)が母の復氏した姓になるわけでもありません。
つまり、母は旧姓に戻っているのに親権を有する子は未だ父の姓のまま、子の戸籍も父の元に入ったまま、という状態が生じるのです。
しかし、母が離婚により旧姓に戻っているにもかかわらず、子の戸籍上の姓が元夫の姓のままだと、社会生活上不便が生じる場合があります。また、社会生活上の不便はなくても、感情論として、子に元夫の姓を名乗らせたくないという場合もあります。
このような場合、子を母の戸籍に移し、子の姓を母の姓と同じくするためにはどのような手続きが必要となるのでしょうか。
2 子の氏の変更許可の申立て
このような場合、まず、家庭裁判所に、子の氏(姓)の変更許可審判の申立てをする必要があります。子が親と氏(姓)を異にしている場合には、子はその親の戸籍に入ることはできないからです。
この申立ては、子が15歳以上であるときは、子が行います。
15歳未満の場合はその法定代理人が行うことになります。「1 はじめに」の例に従えば、親権者である母が申立てを行うことになります。
申立先は、子の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
子の氏の変更は、かかる変更が子の福祉にかなうものかどうかにより判断されることになります。
家庭裁判所が変更が適当と判断した場合は、許可審判がなされます。
3 戸籍の届出
家庭裁判所が変更許可審判を行ったとしても、すぐに子の氏が変更されるわけではありません。
子の氏の変更について許可審判がなされれば、許可審判書謄本が交付されますが、同謄本の交付を受けたら、これ添付して役所に入籍届をする必要があります。
届出人は、子が15歳以上である場合は子本人、子が15歳未満である場合は子の法定代理人が行います。
入籍届を行う役所は、本籍地又は住所地の市区町村役場です。なお、本籍地と届出地が異なる場合は、戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)が必要となります。
入籍届が受理されると子の氏の変更の効力が生じることになります。
4 まとめ
以上のように、「1 はじめに」で設定した例で、子を母の戸籍に入籍させ、子の氏(姓)を母の姓に変更するためには、①子の氏の変更許可審判、②戸籍届出、という2つの手続きを経る必要があります。