法律情報
離婚事由(2)~「不貞な行為」
1 はじめに
民法第770条1項1号は,「配偶者に不貞な行為があったとき」には離婚の訴えを提起することができると定めています。
ここにいう「不貞な行為」とはどのような行為を指すのでしょうか。
2 広義説と狭義説
「不貞な行為」の解釈をめぐっては,学説上広義説と狭義説の両論があります。
このうち,広義説は,「不貞とは貞節でないことであり,姦通よりも広い概念である。」としています。
これに対して,狭義説は,「不貞とは姦通に限る」としています。
なお姦通とは,性交関係のことを指します。
3 最高裁判例
最高裁昭和48年11月15日判決は次のように論じています。
「民法七七〇条一項一号所定の「配偶者に不貞の行為があつたとき。」とは,配偶者ある者が,自由な意思にもとづいて,配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであつて,この場合,相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解するのが相当である。」
同判例上,性的関係を結ぶことを「不貞な行為」であると解釈していることから,一般に判例は狭義説の立場に立つものと理解されています。
4 留意点
なお,狭義説の立場をとった場合,性的関係にあたらない行為は民法第770条1項1号の「不貞な行為」には該当しないものの,同法第770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があることは,留意する必要があります。