法律情報
離婚事由(4)~「生死不明」
1 はじめに
民法第770条1項3号は,「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」には離婚の訴えを提起することができると定めています。
ここにいう「配偶者の生死が三年以上明らかでないとき」とはどのような場合を指すのでしょうか。
2 「生死が・・・明らかでない」の意味
「生死が・・・明らかでない」とは,読んで字のごとく,生存も死亡も確認できないことを言います。その際,生死不明となった原因は問わないとされています(大津地裁昭和25年7月27日判決参照)。
なお,確実に生存しており,単に所在が不明である場合には,「生死が・・・明らかでない」場合には該当しないことに注意してください。
3 「3年」の起算点
かかる生死不明は,3年以上継続していることを要します。
この「3年」の起算点は,最後の消息があったときとされています。
また,この生死不明は,現在も継続していることを要します。
すなわち,現在に至るまで,3年以上にわたり消息がないことが要件となっているのです。
4 その他の制度(失踪宣告)
長期間にわたって配偶者の生死が不明な場合,民法第770条1項3号による離婚のほか,失踪宣告(民法第30条,第31条)を利用することも考えられます。
民法第30条1項は,「不在者の生死が七年間明らかでないときは,家庭裁判所は,利害関係人の請求により,失踪の宣告をすることができる。」と定めており,また,同法第31条は,「前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に・・・死亡したものとみなす。」と定めています。
すなわち,7年間生死不明の者については,失踪宣告により死亡したものとみなすことができます。
そして,配偶者が死亡した場合,婚姻関係は解消されます。
それゆえ,失踪宣告により配偶者が死亡したものとみなされれば,婚姻関係は解消されることとなります。